メッセージ - B年 年間

今週の主日は8月15日にあたっているため、年間の主日ではなく、聖母の被昇天の祭日が祝われます。聖母マリアがその生涯の終わりに天に上げられたという信仰は、彼女が信頼の内に神の御旨に従って生き、キリストの復活のいのちに与る者とされたからだ、という考えに基づきます。

福音朗読(ルカ1:39-56)では、マリアが身重のエリサベトを訪問する場面が読まれます。エリサベトは不妊で年老いていましたが、ありえないと思われていた事態は神の恵みによってひっくり返され、彼女は洗礼者ヨハネを身ごもりました。この神による「逆転」は、エリサベトにマリアが語った賛美の中にも表されています。身分の低い、主のはしためであるマリアに神は目を留め、幸いな者と呼ばれるようにした(1:48)。同様に、思い上がる者、権力ある者、富める者は引き降ろされ、身分の低い者、飢えた人は恵みを受ける(1:51-53)。

この「逆転」は単なる下克上ではなく、その根底にあるのは「憐れみ」(1:50、54)というマリアの言葉が示すように、権力や身分や富が力を持つ世界の常識をひっくり返す新しい価値観です。洗礼者ヨハネが道を開き、イエスが登場して神の国のあり方を宣べ伝えるその新しい時代の始まりに、マリアは大きな役割を果たしました。

自己中心的な力ではなく、他者への愛を持って困難に立ち向かう生き方は、マリアが生涯を通して貫いたものであり、イエスがその言動を通してあかししたものでした。聖母の被昇天の日に私たちはそのことを思い起こし、自分自身の生き方とする決意を新たにします。特に長く続く現在のコロナ禍で誰もが不安や不満をため込んでいる中で、他者への愛のまなざしを忘れないようにしたいと思います。

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