メッセージ - C年 年間

福音朗読箇所(ルカ12:49-53)では、「わたしが来たのは、地上に火を投ずるためである」や「わたしは地上に平和をもたらすためではなく、むしろ分裂をもたらすために来た」などの、イエスらしからぬ過激な言葉が投げかけられています。けれども、これは「戦争や憎しみをもたらす」という表現ではなくて、私たち一人ひとりが何を一番に選ぶのか、どっちつかずにならずに、なあなあですますことをせずに、決断するようにと迫る言葉です。父と子が、母と娘が対立して分かれると言いますが、親しい家族と争うことが目的なのではなくて、大切な家族の反対にあったとしても、あなたは大切なことを選び取ることができますか、そんな問いかけです。

まわりの意見に流されて良いと思うことを選べない、面倒なことになるのを避けたくて楽な方を選んでしまう、人の顔色をうかがって正しいことを正しいと言えない、そんな弱さが自分の中にあるのを厳しく指摘されているような気がします。

ここに至るまでに、イエスは既に、自分が長老や祭司長や律法学者たちから排斥されて殺されると予告しており(9:22)、その場所となるエルサレムに向かっている途上で(9:51)、自分に従う覚悟を弟子たちに問い(9:57-62)、ユダヤ教指導者たちとの対立を深めます(11:37-53)。このような緊迫した中で、私たちも同じ状況に立たされて、「あなたはどちらを選ぶのですか」と決断を迫られているのです。