メッセージ - B年 年間

テーマ:「満ちる時」

「時が満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ1,14)

旧約時代に「満ちる時」とは、元々、預言者達の預言が実現して、神様からの救い主、メシアが来られる時を指しています。すなわち、神の子の受肉の神秘が現される時です。その時に天と地が一つとなり、神様御自身がそれらを支配します。このために、キリストの先駆者である洗礼者ヨハネが来て、「時が満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と宣べ伝えて、間もなく来られる救い主を迎えるように準備していました。キリストが神の国の実現であるにもかかわらず、不思議なことに、今日の福音の中でイエス様ご自身は、洗礼者ヨハネの同じ言葉を繰り返して、神の国が近づいたから悔い改めるように呼びかけています。それは、キリストが共にいても、時が満ちていない現実もあることを示しています。

私たち一人ひとりが自分の信仰生活を振り返り、どんな現実にいるかを確認して、キリストは私達の時を満たしているかどうかを判断すべきだと思います。

神の子は、間違いなくこの世に来られ、御自分の死をもって私達の罪を滅ぼし、御復活を通して悪魔と死に対する勝利を治めました。預言も神様の救いの業も完成し、時が満ちてキリストは天地万物を支配する王となられたのです。但し、神様は一方的に私達に御自分の支配を押し付けることはありません。神の国の完成に与るために、私達の一人ひとりの自由意志による回心が必要で、そして愛と永遠の命の恵みを豊かに頂く必要があります。

この地上に私達の一人ひとりに時が与えられています。祈り、典礼歴、秘跡、奉仕などによって、私達は地上で、働く時も休む時もキリストの恵み、神の愛と命で満たすように呼ばれています。無償に頂くのですから、私達の一人ひとりの心も、自分のすべての時も、神様で満たしましょう。