メッセージ - B年 年間

「イエスは言われた。「神の国は次のようなものである。人が土に種を蒔いて、夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出して成長するが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。 土はひとりでに実を結ばせるのであり、まず茎、次に穂、そしてその穂には豊かな実ができる。」マコ 4:26-28

旧約聖書の時代に主なる神は、イスラエル人に約束を与えることによって、目指すべき目的を表して、彼らを励まし、力付け、この目的に向かって導いてくださったように、イエスも私たちに約束を与えることによって、私たちを希望と喜びで満たし、力付け、導いてくださるのです。

イエスが私たちに与えてくださった様々な約束の中で中心的な約束とは、神の国の実現という約束です。イエスは、ご自分の言葉と行いによって神の国の素晴らしさを表してくださいましたが、聖ヨハネは、黙示録の中で、神の国を次のように描いています。「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。」(黙21:3-4)また、聖パウロは神の国について次のように語ります。「すべてが御子に服従するとき、御子自身も、すべてを御自分に服従させてくださった方に服従されます。神がすべてにおいてすべてとなられるためです。」(1コリ 15:28)

言うまでもなく愛の完成により神の国の実現は、人間にとって最高の幸福の状態、しかも、永遠に続く状態なのですが、憎しみや無関心、不正や争い、また他の悪や苦しみによって満たされている世界、しかもますます悪化している世界の現状を見ると、この世界は本当に神の国に向かっているかと疑っても不思議ではありません。それよりも、世界は自己破滅の道を歩んで、全滅に向かっていることを信じる方が簡単かもしれません。

イエスが教えてくださるように神の国は、世界の歴史の流れの自然な結果ではなく、神の働きの結果なのです。創造主であり全能の方である神は、いつでも、人間が最も相応しくないと思う瞬間にも、神の国を完成することができます。そういう意味で、世界の未来を表しているのは、現在の世界の状況ではなく、イエスの約束なのです。

イエスの約束がもたらす希望と喜びに満たされて、神の国を目指して生きることによって、神の国についての良い知らせを宣べ伝えることができますように祈りましょう。