釈義 - B年 年間

第一朗読:申命記4,1-2.6-8

申命記はモーセの五書の中で最後の書物であり、ユダヤ人の宗教的な律法と社会的な法律を集めた書物である(申12,1-26,15)。この書物の内容は出エジプト記の内容に似ているが申命記は律法と法律に特に注意を払っている。神から貰ったモーセの律法はユダヤ教の元になった。だから、今日の第一朗読の部分は「今、イスラエルよ。あなたがたが行うように私の教えるおきてと定めとを聞きなさい」という言葉で始まる。

第二朗読:ヤコブ1,17-18.21b‐22.27

ヤコブはその手紙をイエス・キリストを信じているユダヤ人のために書いたのであるが、「国外に散っている十二の部族へあいさつを送ります」と書いた(ヤコ1,1)。「十二の部族」という表現はたいていユダヤ人にたいして使う言葉であるが、ここではキリスト者に対して使われた。その理由は、ヤコブにとってキリスト者こそが新イスラエルであるからである。キリスト者は、新イスラエルの民として神の言葉を聞き、この言葉どおり行うという義務がある(ヤコ1,18.22)。ユダヤ人にとって神の言葉というのはモーセの五書である。しかし、ヤコブとキリスト者にとっての神の言葉とは、イエスとイエスの教えである。

福音朗読:マルコ7,1-8.14-15.21-23

ユダヤ人にとってユダヤ教の律法は神の言葉である。この言葉を説明することが律法学者たちとラビたちの仕事である。しかし、神の言葉の解釈は一つだけではなく様々な説明がある。二百年を経て、この説明と解釈の部分がミドラーシやハラーハーなどの形を通してユダヤ教の伝承になった。イエス・キリストの時代にはこのユダヤ教の伝承はモーセの五書と同じ価値があった。イエスにとってそらは間違いであった。だから、今日の福音書でイエスは律法学者を強く批判した。