メッセージ - B年 年間

「もし片方の手があなたをつまずかせるなら、切り捨ててしまいなさい」(マルコ 9: 43)

カトリック教会は次のように教えます。「つまずきとは、他人を悪に誘う態度、もしくは行為のことです。つまずきを与えるものは隣人を誘惑し、徳や正しさを傷つけ、兄弟を霊的死に巻き込むこともあります。ある行為によって、或は成すべきことをしないことによって、他人を意図的に大罪に巻き込むようなつまずきであれば、大罪となります。」(カトリック教会のカテキズム2284条)と。

イエス様は、福音の中で御自身を信じる小さな人はつまずかせることがないように厳しく注意し、比喩的な表現を用いて、つまずきの原因となる体の一部があれば、それを「切り捨ててしまいなさい。」という厳しい表現を使って地獄に陥ることがないように警告します。

自分の手・足・目が、誰にとっても貴重な体の一部として、たとえ一億円の代価を支払って貰えても、切り捨てる人はあまりいないことでしょう。この地上に何十年しか生きていない体のそれぞれの部分は、掛け替えのないものです。しかし、イエス様は人につまずきを与えるよりも、それを失った方が益しだと言います。いわゆる、手や足を失うよりも、つまずきを与える方が人間にとって、比較できないほど大きな損となります。

福音のメッセージは、わたしたちが、共にいる小さな者に霊的死をもたらす人間の欲望と、これに導くすべての原因を避けるように強く強調します。いじめ、差別、家庭内暴力、セクハラと言ったものは、人の権力欲、物欲、快楽欲によって行うものです。しかし、魂を生かすのは愛徳と正義です。それを反対する物をすべて捨て切るならば、子どもたちは「聖家族」の中で育てられ、学校では生徒は自分の能力に応じて助け合って壊れることがない友情を作り、社会は正義と平和の内に神の国の建設に携わることになります。

わたしたたちは、悪によるつまずきを与えるのではなく、善をもってキリストの愛について証する人になるように招かれているのです。