メッセージ - B年 年間

(マコ1,14-20)

「イエスはガリラヤへ行き、神の福音を宣べ伝えて、『時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい』と言われた。」マコ 1,14-15

神は創造してくださった世界を人間の支配にゆだねました。(創1,28)支配の本来の意味とは、漢字が示唆している通り「支えると配る」、つまり自分の支配下にあるものを自分の利益のために利用するということではなく、その善のために力を尽くして奉仕するということなのです。神が人間から求めておられる支配とは、創造主と協力しながら、この世界を完成へと導くということです。世界を人間の支配にゆだねるというのは、創造の業にあずかるように招くということです。

残念ながら、人間は神の望みに逆らって、ゆだねられた被造物を自分の欲望を満たすために利用するようになりました。結果的に、世界は悪化して、いろいろな不正や病気や災いがこの世に入り込み、人間が神との親しい交わりと自由をはじめ、いろいろなすばらしい賜物を失いました。世界は、神が求めているような所よりも、悪霊が求めているような所になり、神が支配している所よりも、悪霊が支配している所になったということさえ言えるのです。

イエス・キリストはこのような世界に生まれてきて、その現実をよく知っていましたが、「神の国が近づいた」と宣言します。確かに、神は人間に創造の業にあずかることを求めていますが、この世界の完成、つまり、神の国の実現は人間の協力に頼らずに、神ご自身の業なのです。人間が神の招きを無視している故に世界は間違った方向に向かっても、神の国は遠ざかっているのではなく、それに近づいているということが福音、良いお知らせなのです。

近づいている神の国に入るために、私たちは悔い改める必要があります。それは、イエスに従うことによって自分の考え方や価値観や生き方をイエスが教えてくださった考え方や価値観や生き方に

変えるということなのです。