メッセージ - C年 年間

今日の福音朗読では、使徒たちの語りかけによって「わたしたちの信仰」がテーマになっています。「わたしどもの信仰を増してください」という彼らに、イエスは「からし種一粒ほどの信仰があれば、桑の木に『抜け出して海に根を下ろせ』と言っても、言うことを聞く」と言われました。からし種は非常に小さいもののたとえとして使われていますが、既にルカ14章で神の国がからし種にたとえられています。小さな種から空の鳥が巣をつくるほどの大きな木となるように、神の国は私たちの目には小さな始まりですけれども、それを神が成長させます。同じように、私たちの信仰は取るに足りない小さなものですけれども、それを神が大きく引き上げて下さいます。私たちのからし種ほどの信仰そのものが桑の木を動かすのでなく、私たちの信仰に応えて神の力によってそれも可能になる、ということです。

ですから後半の僕のたとえも、私たちに自分が「取るに足りない僕」であるという謙遜さを持つようにと説いています。私たちの信仰は神の目には取るに足りない、神からの報いにふさわしいような素晴らしいものではありえない、ただ「しなければならないことをしただけ」のものでしかありません。命じられたことを果たしたからといって、主人は僕に感謝したりはしません。しかし神は、私たちのしたことや私たちの信仰が取るに足りないものであるとしても、あたたかい目を向け、それに大きく応えて下さいます。私たちが自分を誇るのではなく、取るに足りないものであることを自覚しながら、ただ自分にできることを果たすとき、その足りないところに神が働かれ、大きな実りの恵みをもたらして下さるのです。