メッセージ - B年 四旬節

第一朗読は有名な十戒です。十戒はイスラエルの民にとって神の民として従うべき規範でしたが、神の子として「聖なる者となる」というのは、私たちにとって四旬節のテーマの一つではないでしょうか。この出エジプト記版の十戒が申命記版の十戒と異なっているのは、安息日を聖別しなければならないのは「主が創造の後に安息日を聖別されたから」という理由を挙げていることです。

第二朗読では、十字架につけられて死んだキリストの惨めに見える姿が、私たちにとっては逆説的に強さであり、神の知恵である、と語られています。信仰のない人にとっては愚かさであり、つまずきであっても、キリスト者である私たちにとって何が大切なのかを見失わないようにしたいものです。

福音朗読では、いわゆる「神殿の清め」の出来事が語られています。「祈りの場、神との出会いの場であるはずの神殿が商売の家にされている」というところから、更に「本当の神殿とは建物ではなく、そこに神の御旨と働きが見出されるイエスご自身である」というところにまで議論が進みます。

いずれの朗読箇所も、「神の民になるとはどういうことなのか」「自分にとって大切なことは何か」「キリストの姿が私に語りかけるメッセージは何なのか」「どこで神と出会うのか」などの問いを私たちに投げかけています。ふりかえりと回心の時である四旬節に、キリスト者としての自分のアイデンティティと信仰の中心を見直したいと思います。

Share