メッセージ - B年 年間

今日の朗読から浮き上がってくるテーマは「神の国」であり、また、それに属するための条件としての「信仰」です。キリスト者にとって、それはとても身近なものでありながらも、描写や説明しにくい現実です。とにかく、イエスの喩えから分かるのは、まずそれが弱くて傷つきやすいものだということです。少なくとも、芽生える時にはちっぽけなものにすら見えます。最初は説得力がなく、人から侮られたり笑われたりします。誰もそれに目を向けてくれません。それから、もう一つの特徴としては、もちろん人間の自由に委ねられてはいますが、ある意味で人間の努力に依らないものだということも見受けられます。一度神の呼びかけに答え、土台を据えたら、あとは何をしなくても神の力によってこの業が自然に大きくなっていきます、それを邪魔さえしなければ…。ただ、人間の傲りによって、やはりその結果を早く見たいし、しかも大きく見せたいということも見られます。信仰が自信や自慢と程遠く、過程であり、忍耐強く謙遜な人にしか委ねられません。ですから、信者として一番大事なことの一つは、「何もしないで神に任せる」ことと「自分でできるから、やってみせる」ことの間のバランスを見つけることなのではないでしょうか。

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