メッセージ - B年 年間

イエスが律法学者の問いかけに答えてのべられた重要な掟とは、「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして神である主を愛すること」と「隣人を自分のように愛すること」でした。「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして」とか「自分のように」という修飾語句は、「愛する」ことを具体的にしています。ただ「愛しなさい」と言うだけではなく、どのように愛するかを強調することによって、掟が掟のままで終わらないように、どのように一歩を踏み出すべきか、道筋を示してくれています。

イエスは律法学者が適切な答えをしたのを見て「あなたは神の国から遠くない」と言われました。答えた内容は良かった、よく理解していたけれども、それだけでは神の国に入ることにはならない、ということです。遠くはないが、もっと近づいていかなければならない。その近づいていく歩みが、実際に「愛すること」です。

イエスは十字架への道を歩んでいきました。それは、自分を遣わされた神のみ旨を果たすことによって神を愛することであり、自分の命をかけても人々を愛することでした。こうして自分の命をささげて神と人とに仕えるイエスの姿は、第二朗読のヘブライ人への手紙の中で、特別な「大祭司」として語られています。

愛を実行に移すには、勇気が必要です。人の目を気にしたり、反対があったり、何か犠牲があったりしても、それを乗り越えなければ、愛の掟を実現させることはできません。その力を与えてくださるのも、また神であり、隣人の支えであることを思い起こしたいと思います。
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