メッセージ - A年 待降節

マリアと婚約していたヨセフは、彼女が聖霊によって身ごもっていることを知ると、ひそかに縁を切ろうと決心しました。それは主の天使がヨセフに、恐れずマリアを迎え入れるように、と告げたからでしたが、そのお告げは夢の中でなされました。つまりヨセフが寝ているときの話だったわけですが、このエピソードは、私たちが神の言葉に耳を傾ける際のあり方を象徴的に示しています。

人が眠りについているときは、ある意味、生きている中で最も死に近づいたときです。目をつぶって見えなくなるように、いろいろな感覚も鈍くなり、意識的に考えることもなくなり、動くことをやめ、無防備な姿をさらします。ヨセフはそのような眠りの状態に陥ったときに初めて、自分が持っていた考えを手放すことができました。すなわち、ヨセフが困難だと考えていたことを受け入れることができるようになったのは、自分自身が生きることをやめて、すべてを神に委ねた状態になったからでした。

自律した一人の人間として、私たちが自分の考えをしっかり持つことは大切です。しかし、それだけに固執するのではなく、神の言葉に自分自身を明け渡すときに見えてくるものもあるのだと思います。ヨセフは自分が正しいと思ったことを実行しようとしていましたが、眠りについて一度その考えから離れることによって、神の御旨を見出し、妻マリアを迎えることができたのでした。

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