メッセージ - A年 四旬節

私たちにとって、水は生きていくために絶対に必要なものです。命をつなぐためには食べ物も大切ですが、それよりもまず水分が重要です。今日の福音の中で、サマリアの女に対して、イエスはまさに自分が生きた水を与える者であり(ヨハネ4:10)、その水を飲む人の内で永遠の命に至る水が湧き出る(4:14)と語ります。

このサマリアの女は、正午ごろに井戸に水をくみに来た、と言われています(4:6-7)。水くみは、通常、朝一番にその日に必要な分を確保するために行われたと考えられるので、わざわざ遅い時間にこの女性が井戸に来たのは理由があったのでしょう。井戸端会議というくらいで、井戸はその地域の人々が集まる社交の場でもありますが、そこで他の人に会うのがはばかられたとか、人目につきたくなかったれたのではないか、と言われています。

そうした意味で、彼女は心に何らかの傷を負い、「渇いていた」状態だったのかもしれませんが、イエスと出会い、イエスが語る言葉に耳を傾けます。そしてその結果、彼女は避けていたか、少なくとも疎遠であっただろう町の人々との関わりを回復し、彼らを信仰へと導きます。傷つき孤独であった彼女の渇きが癒やされた出来事でした。

私たちも、日々、自分を生かしてくれる「水」を与えられている恵みに感謝したいと思います。

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