メッセージ - A年 復活節

復活節を迎えて

今年は特別な事情で世界各地の教会で、非公開の形で四旬節、聖週間、そして主のご復活を迎えることになっています。だが、様々な形をもって主の復活を祝い、人生の希望に満ちた福音のメッセージを告げ知らせ続ける教会の務めは変わりません。

変わらずに、復活の主日では、マグダラのマリアをはじめ、そしてペトロともう一人の弟子が目撃した空っぽのお墓の物語が告げられます。「空っぽのお墓」は主イエスが復活された最初のしるしです。つまり、イエスのご遺体のないお墓だけで弟子たちの心の中に確固とした信仰が生まれたわけではありませんでした。最初に「空っぽのお墓」を目にして弟子たちは直ちに復活を信じることが出来ませんでした。ヨハネの記述によると、「イエスは必ず死者の中から復活されることになっているという聖書の言葉を、二人はまだ理解していなかったのである」と。復活された後にもイエスが何度も、繰り返してご婦人らをはじめ、弟子たちに現れて弟子たちの信仰を徐々に強めてくださいました。

イエスは復活されてから、天に昇られるまで40日間をもって、教会の土台となった弟子たちを徐々に育て続けました。ご婦人らや弟子たちの前に現れたのは簡単に数えてみれば、十回ほどもあります。

・イエスはマリアという名でマグダラのマリアに呼びかけました。(ヨハネ20,1-17)
・イエスはグダラのマリアともう一人のマリアに「おはよう」と挨拶しました。(マタイ28,8-10)
・イエスはエマオという村へ向かっていた二人の弟子とともに歩みました。(ルカ13-43)
・イエスはシモン・ペトロに現れました。(ルカ24,34)
・イエスはトマスのいない時に弟子たちに現れました。(ルカ24,36)
・イエスは弟子たちとトマスに手足や胸の傷を見せました。(ヨハネ20,26-29)
・イエスはティベリア湖で七人の弟子に現れました。(ヨハネ20,1-2)
・イエスは五百人以上の兄弟たちに現れました。(1コリント15,6)
・イエスはヤコブと弟子たちに現れました。(1コリント15,7)
・イエスは天にあげられる時に、弟子たちを祝福し、派遣しました。(ルカ24,50-53)

また何度も復活されたイエスに出会ったため、弟子たちの信仰は強められただけではありません。ユダヤ人であった弟子たちはすでに旧約に預言された救い主・メシア像を知り、特にイエスの言動を見聞きしたことを思い出しながら、ようやくイエスのことを信じるようになりました。言い換えれば、弟子たちの信仰は空っぽのお墓、何度ものイエスの現れ、かつての聖書による預言、またイエスの言動への思い出し、といった総合的な条件で生まれたものと言えるでしょう。

教会は主のご復活をたった一日で祝うことはく、復活の主日の次の八日間に重点を置き、聖霊降臨の主日までの50日間を復活節として祝い続けます。そのため、わたしたちが復活節をとおして全体の復活のメッセージを理解し、復活されたイエスに信仰をあらためて表明することができますように。

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