メッセージ - A年 年間

今日の福音の中で、イエスが弟子たちに言われた「自分を捨て、自分の十字架を負って、私に従いなさい」という言葉は、現代を生きる私たち一人ひとりにも向けられているメッセージであると思います。

自分の十字架、というと、想像するのは、生きる上での苦痛や困難、あるいは自分の過去など、人それぞれに思い浮かぶものがあります。そうした、本当は背負いたくないものを背負っていく、その姿勢は人間として褒められるべきであるでしょう。しかしそればかりを私たちの生活の中心としてしまってはなりません。自分にとっての様々な十字架を背負いながらも、自分を捨ててイエスに従うことが求められているのです。

イエスに従う、キリスト者としての生き方にも様々な形がありますが、イエスは私たちに最も大切にすべき掟として「神を愛すること」そして「隣人を自分のように愛すること」という2つのことを教えています。すなわちイエスに従うとは、隣人、自分以外の誰かのために、自分を使うことであると言えます。この事を今日の福音に当てはめて考えれば、自分の十字架を背負いながらもイエスに従う、という生き方は、自分をとりまく様々な事柄がある毎日の中でも、自分ばかりのことだけでなく、他の人のために自分の時間を使う、自分をささげる、その心を忘れずに生きる、ということではないでしょうか。自分にとって忙しい時、悩みがある時など、自分のことだけで頭がいっぱいになる時には、私たちは他人に構う余裕が無くなってしまいがちです。ですが、そんな時にこそ、自分のことだけに囚われるのではなく、どんな小さなことであっても、他の人の助けとなれる努力をしてみる、他人のことを考えてみる、それが今、私たちが生きている中で「自分の十字架を担いつつも、イエスに従う」ということに繋がっていくのではないかと思います。

今日は特にこの事を、弟子たちと同じように、イエスからの私たちへのメッセージであると受け取り、それぞれの生活の中でも、イエスに相応しいと言える生き方を、私たちが歩んでいくことが出来るよう、その助けを願いながら共に祈りましょう。