メッセージ - B年 年間

きょうの福音書には、主イエスの力によって、二つの奇跡的な出来事が起きたことについて記されています。まず、一つ目は、主イエスの服に触れたことによって十二年間出血病を患っていた女性が奇跡的に治癒しました。そして、二つ目は、会堂管理者ヤイロの十二歳の娘を死から生き返らせたという奇跡です。このニ人の共通点は、どちらも、この世で手を尽くすべきことはすべて行なったものの、回復の見込みが得られず、キリストのもとに来た人たちでした。ヤイロは「娘が救われて生きられるように」(23)と願い、出血病の女性は、「あの方の衣にでも触れれば、私は救われる」(28)と思ってキリストに近づいてきました。彼らはただ癒されることだけでなく、主の救いを願ってキリストのもとに来ている人たちでした。

この二つの出来事を考えてみたいと思います。まず、ヤイロの娘のことですが、彼女は十二年間元気に過ごしてきたのに、重い病気になって、死んでしまいます。そして、出血病の女性は、十二年間病気で苦しみ、治療で財産も使い果たしましたが、結局病気は治らず、人生のすべてを失ったとも言えるでしょう。両者とも、人間の力ではどうにもなりませんでしたが、イエスを信じることによって、奇跡のみわざを受けました。

主イエスは、「娘よ、あなたの信仰があなたを救った」(34)と言われました。つまり、イエス・キリストのみわざを受けさせるのは信仰です。問題や悩みを持ちながら過ごすのが人生ですが、イエス・キリストは、そこに必ず解決を与えて下さいます。したがって、ここで最も重要なことは、病気の癒しを求めるよりも、まず、「イエスこそわたしの救い主だ」という信仰を持つことが一番大切です。なぜなら、主イエスの目が最初に注がれるのは病気ではなく、信仰だからです。キリストへの信仰をしっかり身につければ、肉体の癒しだけではなく、むしろ、心や魂も救われます。

最後に、一つ忘れてはいけないことは、神様は私たちに「幸せな人生」を与えるのではなく、「意味のある人生」を与えてくださるのです。アーメン。