メッセージ - B年 四旬節

テーマ: 「神はその独り子をお与えになったほどに世を愛された。」(ヨハネ3,16)

「モーセが荒れ野で蛇を上げたのに、人の子も上げられねばならない。それは信じる者が皆、人の子によって永遠の命を得るためである。」(ヨハネ3,14)

 

蛇は、毒があります。噛まれた者は、麻痺され、病気になり、死ぬ恐れがあります。

楽園の物語は、罪と死の原因は「蛇」にあると伝えます。神が愛を持って最高の者として造られた人間は、蛇の誘惑に負けて神に背き、死すべき者となりました。楽園の蛇の毒とは、人間が神を信頼しない傲慢による不従順のことであると教えます。この罪の毒は、人間が愛という心を持たないように、心を麻痺します。命の源である神から引き離す不信仰は、人を永遠に死なせる恐れがあります。人間が神を愛しなくても、人間に対する神の愛は、変わりません。「神はその独り子をお与えになったほどに世を愛された。」(ヨハネ3,16)と今日の福音は私達に伝えています。

砂漠の中で、神によって約束の地に導かれた旧約の神の民イスラエルは、エジプトの奴隷と死から救われた恵みを否定し、神を信頼しないで従わなかった時、多くの蛇が現れ、その毒によって大勢死にました。神が言われた通りに、モーセが青銅の蛇を造って木にかけると、それを仰ぐ人は皆、癒された。命を救うために罪の原因(心の毒蛇)を見つめて遠ざける必要があるという教えはここにあります。

何よりも、私達の罪の赦しのために十字架につけられたキリストの内に、私達が自分達の罪深さを見つめる必要があると今日の福音は薦めます。罪の毒で心の麻痺を受けた私達は自分自身を救うことができません。キリストは十字架上で人間の傲慢を御自分のへりくだりによって抹消し、無償の愛を持って、私達に永遠の命を与えることができます。キリストの十字架の内には、同時に、死に至るまでの最大の愛が見られます。私達はその愛によって癒され、キリストの復活の命に与ることができます。