神言修道会日本管区

ある彫刻家には、弟子がいた。その弟子は自分の師のようになるために、師が教えた通りに熱心に稽古を行い、自分の腕を磨いて、ノミの使い方もマスターして来た。しかし、彫刻家の力作に比べると、自分の作品がとるに足りないものだったので、弟子は使う道具のせいだと思った。それで、彫刻家のノミを取って新しい作品を彫った。師が突然帰って来て、弟子の作品を見て言われた。「良い作品が出来るには、お前に私の道具ではなく、私の霊が必要だ。」と言ったのである。

イエス様は３年間に亘って１２使徒に、神の国について沢山教えてくださった。現代の教会も使徒の教えを受け継ぎ、キリストに倣って典礼や福音宣教を行い、新しい信仰共同体を作り上げているのである。しかし、キリストの業が完全であり、キリストに倣う私達の業には無数の欠点が見られる。私達の教会にも、たくさんの不和と争いも見られる。何故なら、私達はキリストが宣べ伝えた神の国の教えを道具として用いるが、私達に必要なのはキリストの道具ではなく、キリストの霊である。

今日、祝う聖霊降臨祭は、キリストが五十日祭に弟子達に注いでくださった御父の元から遣わされた霊である。聖霊が、秘跡の内に私達にも与えられている。度々、私達は自分の思う教会を作りたいから、キリストの道具を用いるが、キリストの霊の働きを邪魔するのである。聖霊の導きに従って神様から頂いたそれぞれの賜物を認め、大切に愛の内に与え合うならば、神の御国の建設に役立つものとなる。

この度、キリストが望む教会を作り上げて行くように、私達はキリストの道具となって、聖霊が神の国を完成すように祈ろう。