メッセージ - C年 年間

(ルカ11,1-13)

「イエスはある所で祈っておられた。祈りが終わると、弟子の一人がイエスに、『主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください』と言った。」ルカ11,1

 

宇宙万物の創り主である神は、全能者であるだけではなく、私たち一人ひとりを愛してくださる父でもあるのです。この愛のゆえに、神は私たちに必要な恵み必要な善を、常に、しかも、無条件に与えてくださるのです。

残念ながら、多くの人々は、神を信頼する代わりに、自分の思考や欲望、または、他の人の間違った助言を信頼していますので、神に向かって心を閉じて、神の賜物を受けないばかりか、自分の心の真の望みを満たすことのできないもの、結果的には自分に害を与えるものさえをも手に入れるように、一生懸命努めています。

幸いにも、やがて自分の力の限界を認めて、神に向かって祈る人もいます。確かにこの人たちは、自分の欲望が満たされることしか求めておらず、つまり、間違った動機に基づいて祈っていますが、神が彼らの期待通りに応えなくても、イエスが教えてくださったように信頼と忍耐を持って祈り続けるならば、少しずつ間違った欲望から、また、何の根拠のない期待、場合によって非現実的な期待から清められて、自分たちや他の人にとって真の善であるものを求めるようになるのです。

そして、自分が持っているすべての良いものが神から与えられたものであり、この賜物によって神がご自分の愛を表してくださる事実に気付いて、それを自覚するようになる人は、神を信頼するようになって、神が与えてくださるすべての賜物を受けるだけではなく、神の導きに従って生きるようにもなるのです。

このような祈りと生き方によって、人間は最高の賜物、つまりすべての良いものの与え主である神ご自身を、受け入れるために必要な心の準備ができるのです。神に象って、神に似せて創造された人間は、神ご自身を受け入れ、自分自身を神にささげることによって神と一つになって初めて、完全な安らぎ、完全な幸福、しかも永遠に続く安らぎと幸福を味わうようになるのです。